自民党総裁選、1回目の投票では、わずか1票差で岸田文雄氏が河野太郎氏を抑え、決戦投票では87票差をつけて岸田氏が「圧勝」した。総裁選には4人が立候補し、混戦の中、河野太郎氏が勝利するという下馬評を覆した岸田氏の圧勝のウラにはどんな「力学」が働いたのか?立身出世をねらうサラリーマンには見倣う点が多いはずだ。永田町を知り尽くす日本維新の会の鈴木宗男参院議員は「自民党総裁を目指すような人物は、24時間一挙手一投足を見られている。上を目指す人は『あの人は面倒見がよい。親切だ』と思われる姿が大事だ。岸田氏はそうしてきた。1年前の総裁選敗北時と見違えるほどの覚悟と決意があふれていた。これが支持を得た」と評した。臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈氏は、「同調圧力」が働いたと分析する。同調圧力とは、少数意見を有する者に対して、暗黙のうちに多数意見に合わせるように誘導することを指すコトバだ。ここで重要なポイントになる少数派を多数派へと誘導するのに必要なのが首相にふさわしい人物かどうかの「人間力」の差だ。「人の話を良く聞く」という特技をキャッチフレーズにした岸田氏と公人である身を忘れて自身のツイッターで批判的な投稿をブロック(拒否)し、平然としていた河野氏との人間力の差、決選投票で「同調圧力」が岸田氏有利に働くことは、自明の理だったと言えるだろう。