がん医療の権威で米国でもがん研究を長年続けてきた東大名誉教授「がんプレシジョン医療研究センター」所長の中村祐輔氏⬆が、「なぜ日本では新型コロナウイルスのワクチンが作れないのか」という理由について鋭い指摘を行った。「コロナ対応を振り返れば『日本は科学の力がある』というのが幻想ということがよくわかりますよ」「日本のワクチン技術って古いのですよ。アメリカで、すぐにmRNAを使ったコロナワクチンを作ることができたかというと、要するに、がんの免疫療法、ワクチン療法をやろうとしていた。がんには特有のネオアンチゲンという目印になる抗原ができる。それを見つけて、mRNAを使ってがん細胞を攻撃する研究が、2017年に論文として出てきている」「コロナワクチンは、このネオアンチゲンの代わりに、コロナタンパクを使って作られた抗原を注射してるだけの話であって、コンセプト的にはがん治療での技術を応用しただけのことです」「これを「すごい」と言っているのは、「何も知らない」と言っているのと同じで、日本の研究者が世界の動向についていけてないだけの話です。今の日本の議論を聞いていると、もう本当に時代遅れだと感じます」。中村氏の言うとおり、世界から孤立した環境のに置かれている我が国のワクチン開発が、世界のワクチン開発競争から遅れを取り、いわゆるガラパゴス現象(進化を忘れ世界から孤立化)に陥ってしまったことは紛れもない事実だろう。