「日付以外は全て誤報」と言われるほど、そのデマカセぷりとユーモアあふれる記事に定評があったスポーツ新聞「東京スポーツ」を発行する「東京スポーツ新聞社」が、経営難に陥いっているという。「衝撃写真カッパ発見」、「ネッシー遂に生け捕り」、「人面魚重体脱す」、「プレスリー生きていた」、「電線に止まったUFO」 などのユーモラスで荒唐無稽な1面見出しや、ケネディ大統領暗殺事件の際、全新聞社がこのニュースを1面で報道する中、東京スポーツだけが「力道不覚!新兵器も不発」と、力道山対ブラッシー戦を1面に掲載。1989年の昭和天皇崩御の翌日の1面も「ブッチャー流血」などゴシップ新聞ならではの編集方針を貫き、多くの大衆の支持を得つづけてきた。平成10年頃の東スポ社員の年収は45歳・平社員でも3000万円近かったというほどタブロイド新聞の世界で一人勝ちの状態だった「東スポ」が、なぜいま経営危機にさらされているのか。東スポのある社員が、「週刊文春」の取材に「いま、スポーツ新聞を電車で読んでいる人はほとんどいないでしょう。みんなスマホばかりです。5年、10年前からわかっていたことなのに、会社は紙の新聞を売ることばかりを考えてきた」と答えている。世間を笑わせるユーモアやウィットに富んだ「東スポ」が、「スマホに生け捕り」されてしまった、笑うに笑えぬお粗末な話と言えるだろう。