エンゼルスの大谷翔平投手(26)が21日パドレスとのオープン戦に「1番・投手」で出場、投手ではメジャー自己最速を更新する101・9マイル(約164キロ)の豪速球を投じた。3回1死一、二塁でパドレスの主砲タティス(⬆上写真右)に対し、2ストライクからの3球目に投げた直球が、164キロを計測した。しかし、力で押し込んだこのボールをタティスに何とファウルにされてしまった。試合後、大谷は「(あのボールは)悪くはなかったんですけど、もう少し真ん中の高めのボール球かぐらいを狙って投げているので。それが引っかかって真ん中にいっているので。球威があるのでファウルにはなったんですけど、そこが狙い通りボールゾーンのつり球になれば、もっといい結果(空振り三振)になったんじゃないかなと思います」と振り返った。意外だが、日ハム時代の大谷翔平は、161キロ以上を記録した球は、ほとんどをファウルかヒットにされている。これについて生体力学専門家の國學院大學神事努教授は、投手の投げる球の軌道をトラッキングシステム(追尾システム)によって解析する研究で、大谷の投げるストレートの軌道が他の投手に比べてホップする(浮き上がる)量が小さく見えるという。「大谷投手の身長は193cm、ほとんどの打者に対して『投げ下ろす』ことになるので、打者から見るとホップ軌道が『見えにくい』可能性がある」と神事氏は指摘する。さらに、打者には「大谷のストレートは160 km/hを超える」という予測がある。打者はボールが予測やイメージと違う軌道であればあるほど空振りするのに対して大谷の160 km/h超えのボールは予測通りイメージできる範囲の軌道に収まり、準備をすれば比較的タイミングを合わせやすいボールなのではないか」というのだ。大谷は、メジャーにいくらでも居る豪速球投手を目指すより、コントロールの良い投手を目指すべきなのかもしれない。