昨年、ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞した絵本作家・ヨシタケシンスケ氏の新作『あつかったら ぬげばいい』が、児童書の枠を超えて「人生の指南書」「カウンセリングのような1冊」と幅広い世代に響いている。オリコン週間BOOKランキング ジャンル別「児童書」で2週連続1位を獲得。絵本でありながら大人からの反響が大きいという。作者のヨシタケシンスケ氏は、「いろんな物事に対して「暑かったら脱げばいい」くらいシンプルに、世の中を捉えることができたらもっと生きるのが楽になるんじゃないかと、そんな一問一答を列挙していったのがこの本なんです」と語っている。「へやがちらかってたら➡とりあえず むきだけそろえればいい」「ヘトヘトにつかれたら➡はもみがかずにそのままねればいい」「ふとっちゃったら➡なかまをみつければいい」「どうしてもかってほしかったら➡いいこのフリをすればいい」「だれもきずつけたくなかったら➡じょうずなうそをつけばいい」といった、社会のルールからちょっぴりフライングした感のあるQ&A(⬆上図参照)に救われた、という人が多いのだという。我が国ではフライングは、号砲の前にスタートしてしまう「不正」を意味するが、英語の国イギリスでは「好調なスタートを切る」という正反対の意味だ。この絵本は、自分は「ルールを守れない」自分は「人にあわせてばかり」だと自分を責め続ける必要なんてまったくない、つまり、生真面目で小心者の私たちの窮屈な心の中へ、フライングする「勇気」を持て、とヨシタケさんがこの絵本を通じて教えてくれたというわけだ。