「塩っ辛いものばっかり食べているとノドが渇くよ」という忠告は大人や子どもを問わず、世界中どこでも広く使われているが、数か月に及ぶ宇宙生活を模した実験から、塩分の取り過ぎは、ノドが乾くだけでなく肥満の原因になるという意外な実験結果が報告された。ドイツ航空宇宙センターやドイツの大学を中心とする研究チームが塩分の摂取と水分を欲する反応の関係を調査。これまで、塩分は水に融解することで尿として排出すると考えられてきたが、研究の結果では、塩分はそのまま尿に残り、水分だけが腎臓及び体内に戻される、という従来の考え方とはまったく異なる事実が判明した。この事実は研究チームを悩ませたが、マウスを使った実験で、解決の糸口が見つかった。マウスの腎臓で塩分によって体内から水が排出されるのを緩和する働きを「尿素」が担っていることが明らかになったからだ。しかし、この「尿素」を作り出す際には多くのエネルギーが消費されるため、塩分を多く与えられたマウスは水分摂取量は変化しない代わりに、食事量が増加するという結果が見られた。これは人間の場合にも同じ結果で、塩分濃度の高い食事を与えられていた被験者グループは、他のグループよりもノドの乾きより「空腹」を多く訴えたという。つまり、塩分の取り過ぎは「空腹感」が生まれやすく、肥満の原因になるという事のようだ。ご用心!