江戸時代の享和3年(1803年)に常陸国(現在の茨城県)の海岸に漂着したとされるUFO(⬆上の図)のカラー画像。江戸の文人や好事家の集まり「兎園会」で語られた奇談・怪談を、その会員でもあった滝沢馬琴がまとめた『兎園小説』の中に『虚(うつろ)舟の蛮女』との題で図版とともに紹介された日本初のUFO発見のニュースだ。紹介された記事では、享和3年(1803年)、常陸国鹿島郡にある旗本の知行地の浜に、うつろ舟が現れた。うつろ舟は鉄でできており、窓があり(ガラスが張られていた?)丸っこい形をしている(⬆上図右)。うつろ舟には文字のようなものがかかれていて、中には異国の女性が乗っており、箱をもっていた(⬆上図左)、とある。このUFOを発見した地元の漁師達は、下手に役人に訴え出るとメンドウなことになると思い、異国の女性をUFO船内に戻して再び沖合へと船体を引き出し、流してしまったという。ところで、江戸時代にはうつろ船についての記述は各地に数多く存在しているが、うつろ舟の形状については常陸国に不時着したこの「うつろ船の図版」以外には具体的に描かれた史料は存在していない。この図版を刊行した滝沢馬琴は「南総里見八犬伝」など江戸時代を代表する戯作者であり、恐らくは彼の読本に挿絵を描いた絵師に依頼して「うつろ船」の図を口伝えで描かせたに相違ない。江戸の昔、滝沢馬琴の耳に入ってきたうつろ船の奇談。彼もまた宇宙人の存在を信じていたのかもしれない (笑)