タバコに含まれるニコチンが、脳の活動障害を正常化する、という研究結果をコロラド大学ボルダー校の研究者が発表した。この発見によってヘビースモーカー(ニコチン中毒)の原因も解き明かすことにつながるかもしれないという。注意力・記憶力・判断力・口頭での説明に対する理解力の低下などを起こす「統合失調症」に罹ったハツカネズミに毎日ニコチンを摂取させたところ、不活発だったハツカネズミの脳の活動がニコチン投与からわずか2日で活発になり、さらに1週間ニコチンの投与を続けたところ、ハツカネズミの脳の活動は正常に戻ったという。この実験から、ニコチンが脳のニコチン受容体に作用することで、認知機能が正常に戻ることが明らかになった。統合失調症といえば、患者の80~90%は常習的な喫煙者であり、そのほとんどがヘビースモーカーだということは良く知られている。今回の実験結果を踏まえて、統合失調症の患者たちは、ニコチンを摂取して脳の活動を正常化しようとタバコをひんぱんに吸っているのではないかと研究者たちは推測している。脳の活動にニコチンが具体的にどのように作用するかはこれからの研究課題だが、これまで悪者とされてきたニコチンが脳の活性化に役立つという今回の実験結果は、愛煙家にとっては朗報であるに違いない(笑)