「イマドキの若者は海外に出て広い世界を見ようとしない」という話をよく耳にするが、本当だろうか?20代の若者の海外への出国者数を見る限りでは、若者の「海外旅行離れ」は一見ホントの事のようにも思われる。20代の若者の海外への出国者数が24年前の1996年の約463万人をピークに次第に減少し2017年には305万人になったのは事実なのだから。しかし、この数字の減少にははっきりとしたワケがある。20代出国者の数が減った理由は、団塊ジュニアが20代だった1990年代後半以降、20代の若者人口が年々減少を続けてきたからだ。ピークだった24年前と比較すれば、20代の若者人口は3分の2以下にまで減ってしまっている。しかし、若者の海外旅行離れが四半世紀前に比べて減少しているのが本当かどうかは、「20代出国者数➗当時の20代の人口」で計算して、20代の若者のうち、どれくらいの割合が海外に出て行っているかを算出すれば明らかになる。2000年代〜2010年代前半までは若者人口対比でその20%前後が海外へと出国し、2016年以降は23%、26%、29%の若者が出国し、上昇傾向を見せている。この計算を24年前のピーク時にあてはめてみると「20代出国者数463万人➗20代の人口1950万人」は23%と出た。つまり、20代出国者数はピーク時に比べて数は減っているものの若者の海外への出国する割合は、減るどころか上昇しているのだ。現代の20代若者は、「海外旅行離れ」どころか昔の20代若者よりむしろ積極的に海外へと出向いていて、「海外旅行離れ」なぞ、まったく起きていない事が、これでお分かりいただけただろうか(笑)