人手不足が深刻化する中、企業の64.6%で正社員が不足している(⬆上の表)ことが、労働政策研究・研修機構の調査で分かった。正規・非正規を問わず従業員が足りない企業の70%近くが「経営に影響がある」と回答。政府は女性や高齢者の就労促進策を打ち出しているが、加速化する人手不足に追い付いていない現状が浮き彫りになったのだ。なぜこれほどまでに企業の正社員が不足してしまったのか。その理由は、今から20年前、金融危機の1998年を境にして多くの会社が、正社員を減らし、パートタイマー(非正規雇用者)を増やし続けてきたからだ。一方で、20年前の同じ頃に好きな時間だけ働くことを良しとする人が増え始めたことも会社の正社員が減少する一因となった。フリーターと言う言葉が流行り、正社員として会社に縛られるのを多くの若者が嫌ったのだ。しかし 10年前に起きたリーマンショックによる世界不況のなかで、企業による大規模な「派遣切り」が発生し、身分保証のない多くの非正規社員が失業する「ワーキングプア」といわれる時代が到来した。やがて政府が3年前に発表した「働き方改革」によって正社員を再び増やそうとする企業が増えつつあるのだが、時すでに遅し、今日の深刻な人手不足の状況下で、企業が正社員を雇いたくても雇えない時代が訪れたのだ。20年前、会社運営に必要不可欠な正社員を減らし続けてきた企業がいまになって、大きなしっぺ返しを被っているという格好なのだ、「ざまあみろ」と言いたい(笑)