全英女子オープンを制し、42年ぶりの日本人によるメジャー優勝を遂げた渋野日向子(⬆上の写真)の笑顔が印象的だ。これまでメジャー大会という大舞台で勝てそうで勝てなかった日本人選手たちの悲壮感漂う面持ちとはまるっきり違う笑顔・笑顔。2年前の全米プロで松山英樹選手が最終日に単独首位に立ちながら後半に大きく「崩れて」ホールアウト後しゃがみ込んで悔し涙を流したその姿は、今でも記憶に新しいが、伸び伸びと笑顔で始終プレーした渋野選手の姿は、これまで日本人選手が通ってきた勝負の道とは、まったく真逆であったように思われる。彼女はなぜいつも笑顔でプレーできるのか?帰国記者会見で彼女は小学生から続けていたソフトボールの経験について語った「ピッチャーをしていた自分がいちばん大事な役割なので『自分が崩れてしまう』と負けてしまうので、打たれても(自分が崩れないように)気持ちを切り替えないとやっていけない、その経験がゴルフにも役立っている」と語った。さらに彼女は、喜怒哀楽が激しいタイプだったのにプロ入り後「感情を出すとスコアが崩れることが多い」ということにハッと気付いて、笑顔でプレーすることを心がけるようになったという。今年5月の「ツアー初優勝」の際のインタビューで「勝因は?」と聞かれた彼女は真っ先に「笑顔です」と答えているほどだ。メンタルなスポーツの代表と言われるゴルフで一番必要なのは「自分が崩れないこと」そしてそのためには「笑顔でプレーすること」だと若干20歳で、渋野選手は気付いたのだ。今回の全英女子オープンの彼女の優勝が、決してフロック(まぐれ)ではなかったことをよく理解できた。