ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

希林さん「内田裕也は私にとって提婆達多(ダイバダッタ)」その意味は?

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きのう、行われた個性派女優樹木希林さんの葬儀。体調不良で車椅子に座ったままの夫・内田裕也さんに変わって一人娘の也哉子さんが遺族代表として挨拶した。「母になぜ父と長年関係を続けているのか」を問うと「母は『純な所があるから』と答えただけで娘にとっては「永遠にわからないミステリーです」と2人の不思議な夫婦関係について参列者に向かって娘としての素直な感想を語った。肉親ならずとも誰もが感じていたミステリアスなその夫婦関係について、晩年の樹木希林さんがナレーションを務めた映画「ずっと一緒」の監督豪田トモさん(上の写真右)が自身のブログの中で書いている文章が目に留まった。ナレーションの仕事の合間に希林さんが豪田監督にふと漏らした「夫(内田裕也)は私にとっての提婆達多(ダイバダッタ)」という2人の特異な夫婦関係についての告白だ。ダイバダッタは釈迦の弟子の一人だったがやがて釈迦に反逆し殺そうとまでした人物。しかし釈迦は「ダイバダッタがいたからこそ見えてきたものがある」「すべては自分を成長させてくれるありがたい存在である」として彼を赦したという仏教説話である。豪田監督は「ダイバダッタを夫の内田裕也さんになぞらえて『自分を成長させてくれた人』として心からの敬意と感謝を持ちづづけていたのだ」と長年に渡る二人の関係について推論している。樹木希林さんの他の追随を許さないその演技力は、こうした「深い教養」によって裏打ちされていたことを示すひとつのエピソードではないだろうか。