アマチュア組織である日本ボクシング連盟を牛耳る山根会長は元ヤクザで山口組系暴力団森田組組長と50年以上に亘る付き合いがあったというニュースは実に衝撃的だった。山根会長自身もまったく悪びれずにその交友関係を認め、森田組組長だった森田昌夫氏はテレビの取材に対して「彼(山根)と俺と(の付き合いを始めたの)は20代の頃やからかれこれ50年以上になるわけや」「(山根は)元はヤクザや、ワシの下で6〜7年ヤクザしてた」と証言したのだ。この森田氏が山根氏とは弟みたいな関係だったという発言について改めて問われた山根会長は「そうですか、本人(森田氏)が言うならしゃあない」とあっさりとその関係について認めたのだ。日本ボクシング連盟会長に就任後も暴力団元組長との交友を続けていた点についても「別に問題はなかったと思う」と山根会長は答えている。50年以上も続くという任侠の世界でのお付き合い、それはそれで山根会長が言うようにアマチュアボクシングとは何の関係も無いのかも知れないが、こうした人物を、国の助成金(国民の血税)を受け取る組織の会長に据え続けていたことこそが大問題だろう。文科省、スポーツ庁といった日本ボクシング連盟の監督官庁は、何をしていたのか。アマチュアスポーツの世界にいつのまにか入り込んだヤクザな人間をなぜ発見できなかったのか。連盟の内部告発で発覚した山根会長のワンマン運営ばかりが問題視されているが、彼の素性を見逃してきた監督官庁にも重大な責任がある。山根会長を裁こうとしているようだが、同時に彼に会長職を任せ放しだった監督官庁の当時の責任者達も裁かれて当然のように思われる。