先日、米国NSC国家安全保障会議が日本政府に対して日本が保有しているプルトニウムの保有量の削減策を公開するよう要求してきた。現在の日本はプルトニウム量を何と原爆6,000個を作れる47トンも保有しているのだという。その理由はプルトニウムを燃料エネルギーに使う原子力発電が東日本大震災ですべて稼働を停止してしまったからだ。原発停止によって生じたこの大量のプルトニウムを今後も発電エネルギーとして使えないままであればいずれ核兵器開発への転用の恐れもあるというのがアメリカの削減要求のウラに隠された本音なのだ。アメリカと同様に日本のプルトニウムの大量保有を怖れているのが中国である。「日本は核実験無しでスーパーコンピュータを使って核兵器を開発できる能力がある」と日本の持つ高度な技術力を怖れているからだ。第2次大戦で広島・長崎への原爆投下で敗戦した日本。当時の日本はノーベル賞物理学者である湯川秀樹・朝永振一郎氏も加わって原爆製造にあと一歩のところで挫折した。その最大の理由が、肝心のプルトニウムの入手が出来なかったためだ。それから73年、有り余るほどのプルトニウムを保有している日本の姿を湯川・朝永の二人の博士が見たらどう思うだろうか。政府は保有量の増加を抑制する上限制を導入しアメリカの理解を求めるとしているが大量に保有するプルトニウムを譲渡したり廃棄するとは言っていない。大量に保有するプルトニウムをどう扱ってゆくのか、今後の日本にとっての大きな命題になることは間違いないだろう。