この程、中国政府が、「社会信用度」の低い国民は飛行機や新幹線に乗ることを禁止するというお触れを出した。「社会信用度」とは一体何なのだろうか。中国政府と連携して国民の社会での信用度を調査しているアリババグループの信用調査機関によると、人物を5つの観点から調査してポイントを付けて中国国民の格付けを行っているのだという。①身分、②支払い能力、③信用情報、④交友関係、⑤消費の特徴、の5つの項目でそれぞれをポイント方式で人物を評価し総合的な「社会信用度」を格付けするのだという。今回の中国政府の発表では、過去に乗車中に喫煙した人、期限切れのチケットを使用した人、罰金を納めなかった人など、明らかに「社会信用度」が低いと思われる人物を対象にした禁止措置だとしている。しかし、これは共産主義国家である中国にあっては明らかな国民差別ではないだろうか。共産主義の基本思想である「すべての国民は平等である」という考え方からは逸脱した制度に思われる。かつて中国の今日の発展の礎えを築いた鄧小平主席が「富めるものから先ず富めよ」と競争主義を号令したことから中国の目覚ましい発展が始まった。経済大国として世界ナンバー2にまで上り詰めた中国はその根本的な「国民皆平等」の精神がいま大きく揺らいでしまっている。国から差別される側に指名された「社会信用度」が低い人々がこのまま黙っているだろうか。貧乏人は「飛行機や新幹線に乗るな」という目に見える国民差別は一党独裁の中国政府が一番恐れている「国民暴動」の引き金になってもおかしくない差別的な「お達し」だと思えてならない。