これまで、我々人間の脳細胞は年齢と共に減少してゆくものだとされてきたが、最新の脳医学の研究では、人間の記憶をつかさどる「海馬」は年齢に関係なくつねに脳細胞を新しく生み出していることが解ってきたのだと言う。東北大学の医学博士瀧教授の研究で400人を対象に8年間にわたり追跡した調査によると「知的好奇心の高い人ほど脳の認知機能をつかさどる部分の委縮が少なかった」という結果が報告されている。「知的好奇心」というのは平たく言えば知りたい、学びたい、達成したいという「気持ち」を持ち続けることだと瀧教授は語っている。年齢を重ねても趣味やボランティアや仕事に生き生きとして取り組んでいる人ほど脳は若く保ち続けることができるのだそうだ。さらに最新の脳研究によれば「自分がバカなのは遺伝のせいだ」という説もどうやら間違っているらしい。瀧教授によれば視覚・聴覚・触覚・運動能力では確かに遺伝的な影響があるが「考えたり、計画したり、人とコミュニケーションをとったりする自己実現の部分の能力は遺伝の影響は少ない」ということが解って来ていると言う。こうした脳医学の進歩は我々シニア世代にとっては心強い励みになることは確かだろう。人生100年の今の時代いつまでも健康な脳をどのように保ってゆくべきなのか?幾つになっても知りたい・学びたい・達成したいという「知的好奇心」をどれだけ永く保持し続けられるかが、ボケを防ぐ重要なカギを握っていると言えるだろう。