平昌五輪で男子フィギュアでオリンピック2連覇の偉業を成し遂げた羽生結弦選手のフリーの演技を見ただろうか。演技が終了した途端にスタンドから雨あられのように熊のプーさんの黄色いぬいぐるみがリンクの上に投げ込まれたのだ。他の演技者のシーンでは見られなかったこの観客の興奮ぶりを見て「金メダルは間違いない」と誰しもが思ったはずだ。審査員も人の子、これだけの観客の熱狂ぶりが点数に反映されてもおかしくないだろう。試合後、羽生選手は「なんか人間としての人生の中でこれだけ劇的なのは変だなって思う」とも語ったほど演技の最初から観客は羽生選手の一挙一同に熱狂していた。そしてジャンプのあとの着氷であわや転倒のシーンでも羽生選手は何とか痛めた右足で踏ん張りをみせ、さらなる観客の感動を増幅して見せたのだ。「とにかく本当に右足が頑張ってくれたなと思いました」と感想を語り、演技終了後にクマのプーさんが降り注ぐリンクの上で体を折り曲げ右足をしきりに両手でさすっていた羽生選手に「あれは痛みですか?」と質問が飛ぶと「感謝です。(右足に)感謝の気持ちだけです」と跪いて右足をさすり続けていた理由について語っている。ツィッターのトレンドワードランキングでトップ10にランキングされたWinnie the Pooh。「くまのプーさんシャワー」と「右足の踏ん張り」が羽生選手にオリンピック2大会連続の金メダルという快挙をもたらしたのだ。心からおめでとうと言いたい。