ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

夭折の画家フリーダ・カーロを生き返らせた女流写真家石内都。

f:id:gunjix:20180210223849j:plain

先日、テレビの対談番組の中で70歳の世界的な女流カメラマン石内都さんの「私は時間を撮っている」というコトバに目が留まった。写真家にとってのノーベル賞に値するハッセル・ブラッド賞を受賞している彼女は、幼い頃のヤケドのあとが薄絹のように肌に残る女性の美しいヌード写真、亡くなった自分の母親の美しい下着の写真、広島の被爆者が身に付けていた衣服やボタンの写真、そして生涯を病と戦い続け片足を切断しても尚キャンバスに向かい続けた夭折の天才女流画家フリーダ・カーロの遺品の数々を写した作品など、常に世界が注目し続ける衝撃的な作品を発表し続けているカメラウーマンだ。彼女が言う「時間を撮る」とはどういう事か。代表作品であるフリーダ・カーロの遺品撮影後にこの事について詳しく語っている。フリーダが最後まで身に付けていた「義足」(上記写真)について石内さんは「私はフリーダの過去を撮ったのではなく彼女と私が出会った『今』を撮った。赤いブーツ(義足)で彼女が(目の前で)踊っているように感じてシャッターを押した」と語っている。さらに「私はスキャンダラスで華やかな恋に彩られていたフリーダでは無く(遺品を通して)痛みと苦しみの中で懸命に生きたフリーダに出会えた」とも語っている。さらに「写真は過去は撮れない、今しか撮れない。(私は)対象と向き合っている時間と空気を撮っている」とも述べている。石内さんのような確固たるクリエィテブコンセプト(創造哲学)が無ければ世界が注目する仕事は成し遂げられないという事をあらためて感じさせられたコトバの数々である。