5か月前、ダウンを奪いながらも村田諒太選手が2-1の思わぬ判定で負けてWBAの会長までもが「疑惑の判定」と言いだし大騒ぎになり、5か月経ってWBA世界タイトル戦のダイレクトリマッチが昨日行われた。試合前、前回判定で世界チャンピオンになったアッサン・エンダム選手は再試合のために来日した1週間前の羽田空港でインタビューに応じ不可解判定とされた前回の試合を振り返って「自分の強さはあの試合で十分に証明できた。今回も自分自身を見せるだけだ」と改めて勝者は自分だとアピールした。前回の試合でダウンしたことについての記者からの質問には「前回は村田に1度だけ触らせた(ダウンを許した)。が今回は1度も触らせない」と自信満々だったエンダム選手、確かに今回の試合では、前回の試合での自分のミスを打ち消すように村田選手の強烈な右フックを警戒し、間合いを詰められるとすぐさまクリンチを繰り返し前回の試合のようなダウンするシーンは見られなかった。しかし、強烈な右フックとボディブローのコンビネーションで執拗に攻め立てる村田選手のプレッシャーに耐えきれずに8ラウンドのゴングが鳴ってもエンダム選手はイスから立ち上がれずに村田選手のTKO勝利となったのだ。この試合のテレビ解説席に居た元世界チャンプ長谷川穂積氏が即座に「相手の心を折った素晴らしい勝利です」と称賛の声を上げた。かって長谷川氏自身がチャンピオンの心を折って3階級制覇を成し遂げた経験があるからこその実に重みのある祝福のコトバなのだ。もし今回の試合結果が「判定」となればさらに2人の対決が続く事にもなりかねない。村田選手が「エンダム選手の心を折った勝利」であるからこそ大きな意味があると言えるだろう。新チャンピオン村田諒太選手に心からの拍手を送りたい。