上の写真を見て欲しい。右の壇上に居るのがヒラリークリントン元大統領候補である。彼女がスピーチするために登壇した途端に画面左側の聴衆の女性たちがヒラリーに一斉に背を向けている異様なこのシーン。すでにお分かりだろと思うが聴衆の女性たちはSNSにヒラリーと自分が一緒に写った写真を投稿すべくスマホを後ろ向きでヒラリーに向けているのだ。ヒラリー女史もすぐにこの事を理解してにこやかに手を振っているという光景だ。はてさて、今の時代は「いいね!」欲しさにこうした光景が当たり前になってきている。「いいね乞食」という言葉さえ生まれる程に世の人々は食事の前に料理を写し、旅先では名所と自分の姿を写し込んではSNSに投稿し「いいね!」を貰う事に熱中する。テレビの深夜番組でもお笑い芸人がタイの旅先の各地で撮った写真をインスタグラムに毎日投稿し「いいね!」を貰えた数だけの現金を貰ってその日を過ごすという「いいね!放浪の旅」を続けてゆくというアイデア番組があって結構若者の間で視聴率が高いと聞く。我々シニア世代には考えもつかなかった「いいね!コレクション」というスマホを使ったあたらしい趣味の世界。何もせずに食事だけを楽しんだりレジャーを楽しむより自分以外の多くの人と感動を分かち合いたいという発想で自分から情報を発信するという若い人々の姿勢は、これまで少しばかり退屈だった人生をより楽しいものへと変えているに違いない。皮肉っぽい他人から、たとえ乞食と言われようとも「いいね!コレクター」であり続けることの方が、人生はきっと楽しいに違いない。で、私?写真をインスタグラムにアップする方法がわからない(笑)