ミサイル発射や核実験の度に非難の応酬を繰り返している金正恩とトランプ大統領。これをみてロシアのラブロフ外相が「まるで幼稚園児の喧嘩だ」と表現したが、金正恩もトランプ氏もいずれ劣らぬ狂人ブリでこの幼稚園児の口げんかはなかなか収まりそうにない。ニューヨークタイムス日本語版に出ていたテレビタレントのパックンことパトリック・ハーラン氏の「金正恩の狂人っぷり」についての寄稿が面白い。金正恩は「実は挑発が一線を越えないようにしている」、という鋭い観察だ。日本上空を飛び越えたミサイル発射でも「津軽海峡の上、つまり人口密度の低いコースを選び墜落事故による偶発的な(日本との)衝突を避けている」人口密度の高い関東や関西の上空を通るのを避けたのは狂人では無い証拠だと言う。さらに、米軍基地のあるグアム近海にミサイルを発射すると予告しておきながらそちらへは飛ばさない、金正恩は「攻撃的な建前の奥には戦争を避けたいという合理的な本音が隠されている」と言う彼の観察力には感心させられた。ハーラン氏の意見によればクレディ・スイスが発表した世界軍事力ランキングを見ると1位はアメリカ、日本は4位、韓国は7位、そして北朝鮮は上位20位にも入らないお粗末な軍事力しか持っていないという。世界有数の軍事力を保有する日・米・韓3か国による包囲網に、金正恩があえて立ち向かうほどのバカでは無いだろう、という彼の見方にも頷ける。金正恩はアメリカと勢力の均衡を保つために「核弾頭を搭載したICBMが完成するまでは今の狂人のフリを続けるだろう」というハーラン氏の予測の先に、果たして輝く北朝鮮の未来が待っているのだろうか。