ニューヨーク州ブルックリンの低所得者アパートで育ったハワード・シュルツは大学を出てから職を転々と変え、29歳のある日コーヒーの焙煎をするスターバックス社に入社する。彼は会社にエスプレッソの店舗の経営を提案するが受け入れられず、32歳で退社しエスプレッソの販売店を始める。経営は順調で2年後には彼の事業提案を却下したスターバックス社を買収するまでになり、シアトルの1コーヒーショップだったスターバックスの店舗を全米はおろか世界中に広めて文字通りアメリカンドリームを手に入れたのだ。貧しい生い立ちから巨万の富を手にするまでになったシュルツは2000年に47歳の若さでCEOを退任する。しかし、彼がCEOを譲ったあとにスターバックス社は年々売上を落とし株価も下落の一途となったのだ。見かねたシュルツは8年後にCEOに復帰、いきなり全米7100店舗のスターバックスを一時閉鎖し、社員の再教育を行うという驚きの改革を行ったのだ。さらにはハリケーンで被災したニューオリンズに巨額の資金を投じて1万人を超える店長たちを派遣、ボランティア活動による被災地支援を行った。そしてシュルツがCEOに復帰してたった2年でスターバックス社は何と売上高120億ドル(1兆2000億円)と過去最高の売上を達成するという奇跡を実現したのである。こうして一度きりの人生で2度もアメリカンドリームを手にして見せた男ハワード・シュルツは「(人生で)成功するかどうかは(自分の)物語をいかに語ることが出来るかにかかっている」と述べている。これこそまさに「サクセスストーリー」の金言だろう。