全仏オープン、錦織はまた負けてしまった。準々決勝の対マリー戦のライブ中継を見ていた日本人の多くが第1セットの錦織の完ぺきなプレーを見て「これならイケる」と思っていた。しかし、第2セットでそれまで動きが鈍かったマリーが突然鬼の形相に一変し、流れが変わってしまったのだ。マリーは第1サーブのトスを風のためミスしてやり直そうとした時、主審がこれを遅延行為と看做してペナルティを取り第1サーブが第2サーブになってしまった。「こんなジャッジ見たことないぞ」とマリーは主審に詰め寄ったが認められず怒りに震えながらこの第2サーブをセンターに強烈に放つと、錦織はこれをリターンミス,するとマリーは鬼の形相で「Let`s go come on !」と錦織に向って叫んだのだ。この場面で錦織には何の罪もないがマリーは主審への怒りを錦織への闘争心へと変えて強烈なサーブを放ったのである。この怒りのサーブから試合の流れは徐々にマリーへと傾き、錦織はお定まりの負けを喫したのである。試合後、錦織圭の師でもある松岡修造氏は「このままのメンタルだとグランドスラム制覇は有り得ない。トップ選手に必要な集中力が(錦織圭の場合)パッと途切れる」と慨嘆した。流れがマリーへと大きく傾くきっかけとなったあの場面からのゲームを振り返って錦織本人は「マリーのレベルが確実に上がったので自分が耐え切れなくなったり、無理をしてしまった」と試合後に述べたのである。オオカミ少年錦織圭よ、マリーが鬼の形相で叫んだ「Let`s go come on !」のシーンをもう一度思い返してほしい、とグランドスラム初制覇を待つ多くのファンが願っていることを錦織圭の心の奥へ届けたい。