この4月に42歳を迎えたカブスの上原浩治投手が5戦連続無失点、昨シーズンから20戦連続無失点と相変わらず年齢を感じさせない快刀乱麻のピッチングを続けている。メジャーリーグのファンの間では「コウジ・ウエハラがボールを握ったら試合は終わる」とまで絶大な人気を誇っている上原のピッチング。かって、上原が所属したレッドソックスの番記者が空振りを量産する上原の投球テクニックについて面白い解説をしている記事がある。「コウジ・ウエハラの140キロの遅いボールにどのバッターもナゼ空振りしてしまうのか。それはボールの回転率に秘密があるからだ。150キロの速球を投げる投手のボールの回転率は1分間で約2200回転だが、ウエハラの遅いボールは1分間に2700回転する。回転率が多いとボールは浮き上がって見え、バッターは腰より上(ストライクゾーン)にボールが来たと思い、ボールの下を振ってしまうので空振りしてしまう。しかもウエハラのボールは初速と終速があまり変わらないため実際のスピードより速く見えてしまうのだ」という上原の投球術についての専門家の分析を紹介している。アメリカのメジャー球界ではピッチャーのこういう高度な投球テクニックまで詳しく解説され、ファンもそれを参考にして野球を楽しむという野球発祥の国ならではの楽しみ方が良くされている。決して速くないボールで空振りを量産し続けるその魔法のような投球テクニックでアメリカの野球ファンを42歳のいまなお魅了し続けて居る上原浩治投手。ニッポンが誇れるメジャーリーガーの一人だと言えるだろう。