東京都の元知事石原慎太郎氏が豊洲市場問題で記者会見を行った。汚染した豊洲の土地を買い入れた責任について、当然ながら知事としてハンコを押した事実を指摘されると「これを裁可してくださいと説明を受けて、司、司(各部門)の責任・専門性に任せて部下を信頼してハンコを押した。それが行政手続きだと思います」と弁明した。つまり、東京都のトップに立つ知事(自分)のみの責任では無く、行政手続きに関わったそれぞれの部門にも責任がある、のだという口ぶりである。さらに汚染した土地を買った損害賠償を求める訴訟が都民から起こされていることを質問されると「おかしいじゃないですか、みんなで決めたこと、それを裁可願いますと言うので(私は)イエスと言ったまでのこと」なのだからと石原氏には珍しく気色ばんだのである。メクラ判を押したがために損害賠償を支払わされた首長の判例が全国に無数にある事を石原氏も解っているようなのだ。この会見の場で、専門家達が、現在の土壌の汚染程度なら安全性に問題は無いと指摘している豊洲市場の開場を先延ばししてムダな経費を使い続けている小池都知事を、石原氏は無責任すぎると批判することも忘れなかった。しかし、形勢は明らかに小池知事に有利に動いている。この会見を見た「厚化粧」の高笑いに石原氏は忸怩たる思いでいるに違いない。