GNP世界第2位の繁栄を誇る中国について、フランス人の人口学者の興味深い発言をテレビで見た。彼によれば、これだけ高度成長を続ける国であれば人口は海外からの流入があって然るべきなのに、中国では逆に人口の流出が毎年続いているというのだ。彼によれば年間150万人の大量流出が続いているという。先月ロシアからのニュースで年間150万人の中国移民に悲鳴をあげているという新聞記事もあった。「中国は戦車では無くスーツケースでロシアに攻め入った」というその見出しには思わず苦笑したが、この現象は中国国家の内部からの崩壊の始まりだというフランスの人口学者の説には納得できるものがある。しかも深刻なのは労働者の移民だけではなくその大部分を留学してそのまま国へ帰ろうとしないインテリ層の移民が占めている点だ。国を捨てる、という行為は歴史を振り返ればわが国にもあったが、ブラジルへの日本人移民は明治時代から現在にいたるまでの100年間を合計してもたったの13万人である。中国はわずか1年単位で150万人という恐ろしい人数の海外流出なのだ。しかも労働者だけではなくインテリ層も含めてこれだけ大量の国民が流出するのは歴史的に見ても稀有なことだろう。一党独裁の政治がいよいよ終焉を迎えようとしているのかもしれない。中国はGNP世界第2位といってもその中身は国民一人ひとりの安い賃金のおかげで成り立っているに過ぎない。こうした先の見えない社会状況では中国人の国外脱出はこれからも止むことはないだろう。習近平よ、尖閣諸島や南沙諸島などの領土拡張に固執したりせずに、国民の海外逃亡を防ぐ魅力のある社会保証制度を急ぎ作らなければ巨大中国は内側から崩壊してしまうのではないのか。