国連の核禁止条約の交渉開始についての決議で日本がアメリカに追随して反対票を投じた。「なぜ被爆国のニッポンが?」と国際的な驚きの声が上がる中、政府は曖昧な説明を繰り返している。この政府説明を翻訳すればアメリカの核の傘に入ってるのだから仕方がないよという姿勢である。このニュースは日本のマスコミでもほとんど話題にならないと思われる。国会においても野党が騒ぎ立てることもないだろう。その理由は、日本国民全体の民度のレベルが先進国に比べて低いからだ。福島原発がメルトダウンしたのを見ただけで、ドイツは原子力発電をすべて止めてしまった。ところがどうだろう、わが国では福島県民の感情を逆なでするように原発存続が次々と決まってゆく。40年前、ヨーロッパ各国を旅してほとんどのドライバーがシートベルトをしているのを見て笑った恥ずかしい記憶がよみがえる。日本でシートベルト着用が義務づけられたのはヨーロッパで見た10年後だったように思われる。その国の民度のレベルを図るには2大政党が拮抗するような政治がなされているかどうかだ。自民党一党が圧勝する日本の選挙で、被爆国ニッポンの魂を売ったことなど日本国民は誰も責めたりはしない。テレビ画面で今回の反対票を投じたことを憤り嘆く被爆者たちの姿が、哀れに思えたのは私だけなのだろうか?